エンターテインメントビジネスにおける収益モデルは、ここ数年でかつてない変容を遂げた。かつては劇場公開での爆発的な興行収入が最大の収益源であり、その後の物理メディア販売やTV放映権のライセンス供与が二次的な利益を生む構造が定着していた。しかし、現在の映画産業を取り巻く環境は、単一の窓口依存から多角的なエコシステムへと完全に移行している。
現代のヒット作が生み出すマネーストリームは、単なるチケット売上にとどまらない。劇場での話題化をトリガーとし、世界規模の動画配信サービスでの独占配信、マーチャンダイジング、テーマパークアトラクションへの展開に至るまで、多層的な収益化ポイントが組み込まれている。特に近年のスタジオ経営では、初週末の興行成績以上に、長期的なIP(知的財産)価値の最大化と会員維持率への貢献度が重視されるようになった。
一方で、製作費とマーケティングコストの高騰はスタジオの収益圧迫という諸刃の剣となっている。1作品あたり数億ドル規模の巨額投資を回収するため、各社はリスク回避策として実績のあるフランチャイズやシリーズものへの依存を強めてきた。だが、この戦略も市場の成熟とともに新たな局面を迎えている。