原作本編の冒頭やアニメ第1期から登場していた「額に縫い目のある夏油」は、本人の意志で動いていたわけではありません。その正体は、千年前から肉体を渡り歩きながら暗躍を続けてきた最凶の術師「羂索(けんじゃく)」でした。
『0』で夏油が死亡した際、五条は親友への情から遺体の処理を高専の医療班に任せず、埋葬も曖昧にしてしまいました。その遺体を羂索が回収し、自らの脳を夏油の頭蓋内に移植することで肉体を完全に乗っ取ったのです。額の縫い目は、脳を入れ替えた際に生じる縛り(制約)の痕跡でした。
羂索の目的は、夏油の「呪霊操術」を手に入れ、人類と天元の同化を促す未曾有の呪術テロ「死滅回游」を引き起こすことでした。渋谷事変において、親友の姿をした羂索を前にした五条悟は激しい動揺から獄門疆に封印されることとなります。しかしその際、五条の「いつまでいい様に使われてんだ 傑」という魂の呼びかけに応じるかのように、夏油の右手が自らの首を締め上げるという驚くべき現象が発生しました。これは、肉体にわずかに残っていた夏油傑本人の魂の抵抗であり、彼自身の誇りを示した瞬間でした。