近年、20代から30代の若年層を中心に「会話中に適切な言葉が瞬時に選べない」「文章を組み立てるスピードが著しく落ちた」と訴える声がSNSや医療相談プラットフォームで目立っています。この背景として臨床現場で指摘されているのが、スマートフォンによる過度な情報インプットが引き起こすスマホ認知症(デジタル脳疲労)です。
ショート動画やSNSで断片的な大量の情報を絶え間なく浴び続ける生活は、大脳の浅い情報処理を酷使する一方で、前頭葉による「情報を深く統合し、自分の言葉として再構築して発信する」機能を著しく低下させます。その結果、インプットの過剰に対してアウトプットの回路が目詰まりを起こし、日常会話で言葉がスムーズに出てこなくなるのです。
さらに、社会に出て複雑なコミュニケーションを求められる中で顕在化する大人の発達障害(ASD・ADHD)に伴う会話の困難さも重要な論点です。
- ADHD(注意欠如・多動症)傾向:脳内で次から次へと新しい思考や連想が湧き出るため、脳内の思考スピードに発話が追いつかず、話の着地点を見失って言葉に詰まる現象が起こりやすい傾向があります。
- ASD(自閉スペクトラム症)傾向:相手の表情や文脈のニュアンスを察しながらリアルタイムで言葉を選ぶ高度な社会的マルチタスクに脳のワーキングメモリを使い果たし、会話中に急激なフリーズを起こすケースが見られます。
SNSや当事者コミュニティのリアルな声を見ても、「周りがテンポよく会話している輪に入ると言葉が喉で固まる」「雑談になると何を話せばいいのか頭が真っ白になる」といった切実な悩みが数多く共有されており、単なる性格の問題ではなく認知特性への理解と環境調整が必要とされています。