猫は高い場所から軽やかに着地する動物だという固定観念は、いま大きく覆されつつある。ツルツルのフローリング上で繰り返されるダッシュやジャンプの着地時にかかる関節への負荷は、人間が想像する以上に過酷だ。踏ん張りが利かない床材は、日常的な歩行姿勢すら歪めてしまう。
公益社団法人日本獣医師会に所属する複数の臨床現場からも、室内飼育における足元環境の不備が警告されている。特にスコティッシュフォールドやマンチカンなどの骨格に特徴を持つ品種だけでなく、一般的な日本猫であっても膝蓋骨脱臼(パテラ)や変形性関節症を発症するリスクは日常の動線に潜んでいる。診察を担当する現場の獣医師は「歩き方に違和感を覚えて来院した段階で、すでに慢性的な関節炎が進行しているケースも珍しくない」と指摘する。床の滑り止め対策は、贅沢ではなく予防医療の第一歩なのだ。