熱心な常連の間ですら囁くようにしか語られない一杯が存在する。それが、特定区画の茶葉のみを低温で半年間熟成させたハウス限定のヴィンテージブレンドだ。温度管理されたセラーから取り出される茶葉は、年間の収穫量わずか数キロという極小ロット。抽出温度は92.5度にミリ単位で制御され、ネルを通して一滴ずつ丁寧にドリップされる。
口に含んだ瞬間に広がるのは、白桃を思わせるみずみずしいアロマと、奥底に潜むビターカカオのような深い余韻。この門外不出のブレンドをベースにした完全予約制の「裏メニュー」は、一般公開されることなく限られた枠のみで提供されている。濃密な抽出液に希少な柑橘のエッセンスを霧状に吹きかけるそのプレゼンテーションは、もはや液体料理の域に達している。