南海電車の高架下に広がる空間は、数年前とは明らかに別の顔を見せている。赤提灯が揺れる立ち飲み屋のすぐ隣で、若者が浅煎りコーヒーのカップを手にして笑う。かつて日雇い労働者の街として語られたこの地域は、地価の上昇とインバウンド需要の激増により、劇的な地殻変動を起こしている。
朝7時。街がゆっくりと動き始める。古くからの喫茶店では、厚切りトーストとコーヒーを前に常連客が世間話に花を咲かせる。そのすぐ近くの席では、パソコンを開いた外国人がリモートワークに勤しむ。住民の間には困惑もないわけではない。だが、街から漂うどんよりとした陰気が消え、新しい活気が生まれたことを素直に喜ぶ声も少なくない。