好間工業団地を語る上で避けて通れないのが、水害リスクをめぐる経緯です。2019年10月の「令和元年東日本台風(台風19号)」では、団地に近接する好間川や夏井川水系が記録的な増水を見せ、団地内の低地エリアやアクセス主要路で冠水が発生しました。さらに2026年9月の台風13号に伴う線状降水帯による記録的豪雨でも、内水氾濫により周辺道路の寸断が確認され、サプライチェーンの一時停滞が報じられました。
いわき市が公表している最新のハザードマップ(浸水想定区域図)を精査すると、工業団地全体が一律に危険なわけではありません。団地は丘陵地を切り拓いて造成されたため、標高約40m〜65mの高台部分に位置する区画は河川の氾濫による直接の浸水想定から外れています。一方で、好間川に隣接する進入路周辺や、谷底低地部に位置する一部の敷地境界では、想定最大規模降雨時に0.5m〜2.0m未満の浸水リスクが明記されています。
これに対し、2026年から2026年にかけて福島県と行政、そして立地企業は前例のない規模でハード・ソフト両面の治水対策を完了させました。
- 河道掘削と遊水地整備:福島県いわき建設事務所の主導により、好間川の堆積土砂撤去および川幅拡張工事が集中的に実施され、流下能力が大幅に向上。
- 雨水排水ポンプの増設・調整池改修:工業団地内の調整池について、堆積物の浚渫と排水ゲートの遠隔電動化が完了。集中豪雨時の内水滞留時間を従来の半分以下に短縮。
- 各企業の設備嵩上げ・止水板配備:クリナップやアルプスアルパインをはじめとする主要企業は、重要受変電設備・自家発電機の2階以上への移設、敷地周囲への着脱式止水板の配備を完了。
行政の土木関係者による取材記録でも「過去2度の被災経験を教訓とした排水路網の再設計により、100年に1度クラスの集中降雨に対しても工場本体の稼働停止を防ぐ堅牢性が確保された」と評価されており、2026年現在の安全性は被災直後と比較して格段に向上しています。