1970年代から2000年代にかけて、日本のフェアウェイを支配したのは尾崎将司という唯一無二の太陽だった。プロ野球・西鉄ライオンズの投手からゴルフへと転身した将司は、類まれな体躯と運動能力を武器にツアー通算94勝、生涯通算113勝という世界記録級の金字塔を打ち立てる。その規格外のドライバーショットと妥協なきゴルフ哲学は、当時のファンだけでなく後続のプロゴルファー全員の視線を釘付けにした。
だが、ドラマは一人では完結しない。そこに風雲を巻き起こしたのが、次男の尾崎健夫だ。「ジェット」の愛称通り、天高く舞い上がるハイドローボールでファンを魅了し、兄の背中を猛追した。感情を剥き出しにして戦う健夫の姿は、冷徹なまでの完璧主義を貫く将司とは好対照の魅力を放ち、ツアーに熱い人間味をもたらした。
そして最後に頭角を現したのが三男の尾崎直道、「ジョー」である。兄たちの背中を見据えながら独自の理論を構築し、正確無比なショットメイクとパッティング技術を磨き上げた直道は、賞金王に2度輝くなど日本屈指の実力者へと上り詰める。三兄弟がリーダーボードの上位を独占する光景は、もはや日常茶飯事だった。プロゴルフという孤独な個人競技において、同じ血を分けた三人が頂点を争う構図は、ファンの熱狂を最高潮へと導いた。