トマト栽培において最も恐れられるのが、全滅リスクを孕む「疫病」と「青枯病」です。両者は外見上の初期萎れが類似しているため混同されがちですが、原因微生物も対処法も全く異なります。疫病と青枯病の見分け方を正確に把握しておくことは、被害を最小限に食い止める必須スキルです。
判定の基準は「病斑の色と出現場所」および「萎れ方の時間軸」にあります。疫病はカビ由来であり、雨天が続いた後に葉や茎に黒褐色の油染みのような病斑が出現し、高湿度下では白い霜状のカビを生じます。一方の青枯病は土壌細菌による維管束感染症であり、葉は鮮やかな緑色(青い状態)を保ったまま、晴天の日中に突然全体が萎れ、夕方に一時回復するという挙動を2〜3日繰り返したのち急死します。
決定的な現場鑑別法として知られるのが「茎の切断・水浸試験」です。青枯病が疑われる株の地際茎を切り取り、透明なコップの水に浸けると、導管から白く濁った細菌糸(バクテリアルウーズ)が煙のように溶け出してくるのを確認できます。この現象が見られた場合は青枯病で確定です。速やかに周囲の土ごと株を掘り上げて処分し、健全株への潅水ラインを遮断しなければなりません。