伊賀を語る上で欠かせない二大巨頭が、徳川家康の天下取りを影で支えた服部半蔵と、伊賀北部を掌握した土豪・百地丹波だ。通説では黒装束の超人として描かれがちな彼らだが、実際の姿は高度な情報戦と地政学的判断力を兼ね備えたリアリストであった。織田信長軍による苛烈な伊賀攻め(天正伊賀の乱)において、圧倒的な兵力差をゲリラ戦と情報操作で翻弄した伊賀衆の結束力は、今も現地の伝承に色濃く残る。
館内の展示パネルや解説資料を追うと、半蔵や百地らが単なる傭兵ではなく、独立した自治組織を率いる指導者層であった事実が浮き彫りになる。徹底した秘密保持、暗号通信、心理戦。現代の情報機関にも通底するインテリジェンスの原型が、この険しい山々に囲まれた盆地で磨き抜かれていた。