広島の夜を語る上で、名物の広島牡蠣を外すわけにはいかない。広島湾の穏やかな波と豊かなプランクトンに育まれた牡蠣は、加熱しても身が縮みにくく、濃厚な旨味とクリーミーなコクが凝縮されている。定番の生牡蠣や焼き牡蠣はもちろん、香ばしいバター醤油焼きや、地酒を惜しみなく注ぎ込んだ酒蒸しは、思わず唸るほどの美味さだ。
合わせる酒には、西条の名門「賀茂鶴酒造」の純米酒を指名したい。米のふくよかな旨味とキレのよい後味が、牡蠣の持つ濃厚なミネラル感を美しく引き立てる。冷酒で口中をすっきりとリセットするもよし、ぬる燗にして磯の香りを引き立たせるもよし。土地の食材と土地の酒が織りなす調和は、旅の夜を極上の時間へと塗り替えていく。